【観光】人間工学に基づく公共施設のデザイン
Date:2019.03.31
地域の課題
空港や駅は国内外の来訪者が最初に訪れる場所です。これらの公共施設は観光客に街の第一印象を与える場所でもあります。千歳市をユニバーサルで持続可能な街にするために、国籍、年齢、障がいに関わらず、多様な利用者が空港や駅などの公共施設・設備をストレスなく利用できるようにしていくことが大切です。
全国有数の乗降客を誇る新千歳空港
千歳空港乗降客
- 2271万人:全国5位 うち国際線328万人
JR駅乗車人員
- 新千歳空港駅87,429人/日:道内2位
- 千歳駅16,121人/日:道内8位
SNCプロジェクトのアプローチ
案内誘導サインの改善
JR千歳駅のバスターミナルは、東口と西口の2箇所に分かれていますが、駅の構造上の問題から、それらのバスターミナル間を移動するためには複雑な経路を辿る必要があります。千歳市では,JR千歳駅構内の出口付近に利用者の行き先に応じて各バスターミナルへ誘導するための案内板を設置していましたが、わかりづらいとの利用者からの意見が少なくありませんでした。
そこで、人間工学的観点および人間中心設計の概念に基づいて千歳駅の案内板のデザインを行いました。まず、現状の案内板の問題点を探るため、シナリオ法に基づいた移動のシミュレーション実験を実施し、被験者の注視点・発話プロトコル・パフォーマンスを記録・分析しました。その結果、「利用者のニーズにあった情報が案内板に欠如している」、「案内板の内容の理解が難しい」などの課題が明らかとなりました。それらの情報から、全ての案内板の様式を統一し、ピクトグラムを取り入れた案内板を試作しました。場所によっては、3次元的なイラストを用いて曲がり角を明示するなどの工夫も行いました。試作した案内板の仮設後、実験的評価と改善を繰り返し、現在はこのプロジェクトでデザインした案内板が実際にバス乗り場の案内に使われています。新千歳空港のパウダールームや授乳室の案内表示、ターミナルガイドや千歳市内バスマップも人間工学に基づいた同様の改善を行っています。