【活動報告】2023 vol.3タウントーク を開催しました
Date:2023.11.07
2023年10月25日(水)、19時から20時の1時間、第3回タウントークを開催した。
今回は「地域・観光のラストワンマイル交通を考える:MaaS先進国フィンランドの取り組み」というテーマで北海商科大学商学部観光産業化の千葉里美准教授が講演した。千葉氏は、2023年7月にヘルシンキ市で調査したラストワンマイル交通について詳細にデータやイラスト・写真などを使って説明した。調査対象となったヘルシンキ市は人口約66万人である。千葉氏の説明から次のことが明らかになった。
- 2009年にサステイナブルで効率的な交通システムを作ることを政策目標として掲げ、2011年に行政、企業が持っているデータを「HELSINKI REGION INFOSHARE」で開示した(現在その数は550以上)。開示されたデータを利用して多様なイノベーション企業が誕生している。
- 2012年には産官学による非公式会合「新規交通政策クラブ」が設けられ、2013年にサンポ氏(後のMaaS Gloval社のCEO)がMaaSコンセプトと言われるモビリティサービスのサブスクに関するアイディアを発表した。その後「サービス提供の統合レベル」であるレベル3のMaaSアプリWhimが誕生した。このアプリは目的地までのルート検索、あらゆる交通手段(公共交通機関、タクシー、ライドシェア、シェアサイクルなど)の予約、運賃等の決済(キャッシュレス)がスマホひとつで完結することができる。
Whim利用者は公共交通を多頻度で利用することとなり、また移動範囲が広がるため、環境負荷低減、地域活性化につながることが期待される。また現状課題となっている公共交通機関の活性化に繋がる可能性がある。
日本は高齢化や過疎化が進む地域課題や脱炭素社会に向けた取り組みで岐路に立たされている。今回のヘルシンキ市の取り組みから「産官学の連携」の重要性が改めて浮き彫りになった。たとえば交通に関わる必要なデータの開示は企業や行政の協力が必要である。また、企画→実施における迅速な対応も重要である。
ヘルシンキ市では2009年の政策目標から5年でモビリティサービスの新たなコンセプトが生まれている。千歳市は交通アクセス・産業インフラ、人材・労働力等で魅力のあるまちとして知られている。しかしながら、公共交通では申告な問題も抱えている。ヘルシンキ市の事例を参考に産官学がしっかり連携したスマート・ネイチャー・シティにつながる千歳市型交通インフラを是非実現させてほしい。
次回の第4回タウントークは、「アート・芸術と地域の魅力づくり」をテーマにまちライブラリーで12月18日(水)19:00に開催予定である。