【千歳学ノート vol.17】「ユーザー中心設計」
Date:2020.06.08
5月11日,全国の多くの大学がオンライン授業を始めた。ところが,オンライン学習用のサーバーがダウンして,学生が受講できない事態が頻発した。札幌近郊の大学でも同様の障害が発生した。幸い,公立千歳科学技術大学においては,こうした障害に関する報告はない。
私も,札幌の某大学向けにリアルタイムのオンライン授業を行った。延々とスクリーンを見つめたせいだろうか, 3時間に及ぶ自宅からのオンライン授業後,軽い頭痛を覚えた。授業終了後,学生らとスクリーン越しに話をしたが,学生たちは,朝から夕方の私の授業までずっと緊張感を持ってスクリーンを見つめており,疲労困憊したとのことだ。彼らは毎日この状況なのだ。
一方,別のオンライン授業ではこういう事もあった。授業を終えて終了しようとすると,手伝いの学生(ティーチングアシスタント)が,「先生!みんなが拍手しています!」という。ふと見ると,学生のアイコンが拍手のスタンプに変わっていた。スクリーン越しに癒された一瞬であった。また,普段は発言が苦手な学生が,オンライン授業だと書き込みを使って,積極的に発言するなど,オンライン授業の利点も多い。
エンジニアリングの世界では,ユーザーの観点に立ったデザイン(設計)を行う「ユーザー中心設計」という言葉がある。オンライン授業のデザインも然り。教育の現場でも,学生の立場にたった授業デザインを行うことで,その魅力と可能性を深めることができると考える。
公立千歳科学技術大学 教授 曽我聡起
出典:苫小牧民報コラム「ゆのみ」(2020年5月19日号)
※この記事は苫小牧民報社の許可のもとに転載しております。