【千歳学ノート vol.12】「産官学による厳寒期の移動式仮設住宅について」
Date:2020.02.28
我々公立千歳科学技術大学と千歳の建築会社であるアーキビジョン21,それに千歳市の産官学による共同研究プロジェクトが本学キャンパスでスタートした。アーキビジョン21社が誇る「スマートモデューロ」はコンテナサイズの移動可能な住宅で,これまで緊急災害時に各地に提供されてきた。このプロジェクトでは,スマートモデューロを3ヶ月間借りて,厳寒期における被災体験実験に用いることにした。
千歳市向陽台にある同社の工場から本学のキャンパスまで,積み込みから移動,設置まで3時間程であった。恐らく真冬に被災した人達もこの住宅が到着した際は,ホッとするのではないだろうか。
先日は,千歳市にある防災学習交流センター (千歳市北信濃)で,様々な地震の揺れを体験したり,段ボールベッドの有効性などを教えて頂いた。今回は,スマートモデューロをトレーラーの荷台に積んだまま,キャンパスの駐車場に「駐車」していることから,床下が浮いている。これにより,足下が冷えることが考えられるとのこと。このように末梢(手足や耳など)から冷えると,最悪の場合,低体温症になる事もあり,まずは床の温度を上げるべきとのアドバイスを頂いた。寒冷地への移動時は,トレーラで室内を温めたり,被災地では容量の小さな蓄電池でも,電気カーペットやコタツを使うのも有効かもしれない。
北海道の厳寒期における災害を乗り越えるためには,産官学が知恵を出し合い,万全の備えが必要である。
公立千歳科学技術大学 教授 曽我聡起
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2020年2月1日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。