【千歳学ノート vol.14】「新型コロナウィルスに抗する」
Date:2020.03.18
東日本大震災から9年が経過しようとしている。その後も我々は,台風や吹雪,地震に伴うブラックアウトなど,多くの災害を体験した。特にブラックアウトでは,地震や台風などの直接的被害もさることながら,間接的な社会への影響がボディブローのように効いてくることがわかった。今度は新型コロナウィルスが相手であった。こうした疫病,特に感染症と人類の戦いの歴史は古く,ペストやコレラ,結核,インフルエンザ,エボラ出血熱,エイズなどと戦い続けてきた。今回わかったことは,こうした疫病も自然災害と同様に,間接的に社会活動を直撃するということである。
今回の新型コロナウィルスにより,北海道は大打撃を受けた。気がつくと,多くの観光客が周りから消え去った。本学では卒業式や謝恩パーティが中止になり,3年生は就職説明会が中止になるなどの影響が出始めている。若者は,集団で飲食などを避けるようにとの指示すらある。他方,インターネットなどを活用した企業説明会や,子供たちに向けた授業や料理の作り方の動画の提供,遠隔治療などが一気に広がりそうな気運である。我々も,日高管内の高校で行ってきたドローンプログラミングの授業が中途となり,現在,続きの内容の動画を準備している。完成次第,オンラインで公開する予定だ。
社会インフラにより多くの要素が強固に結びついている現代社会では,間接的な被害が揺れ戻しのようにダメージを与え続ける構造になっているようだ。知恵を持ち寄らなくてはなるまい。
公立千歳科学技術大学 教授 曽我聡起
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2020年3月14日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。