【千歳学ことはじめ vol.3】日本一

Date:2018.07.25

【千歳学ことはじめ vol.3】日本一

「空が結ぶまち千歳・水が繋ぐまち千歳~豊かな自然(水・緑・温泉)と交通アクセスを生かした観光地づくり~」を標榜する千歳市の観光振興にとって、支笏湖やサケのふるさと千歳水族館は豊かな自然を資源とする観光施設であるとともに、科学や産業を知る教育施設でもある。
支笏湖は我が国最北の不凍湖であり、透明度日本一という自慢話をよく耳にする。
でも、摩周湖とどっちが透明だろう?嘗て世界一の透明度41.6mを誇った摩周湖には及ばないが、15m以上を維持している。

では、支笏湖をして日本一とする根拠は何だろう。
それは、湖水に溶存する有機物等の指標であるCOD(化学的酸素要求量)の値である。小さいほど水はきれいだ。
環境省の“公共用水域水質測定結果”によると、支笏湖のCODは平成19年からずっと全国一の低さを保っている。
ちなみに、公共用水域とは水質汚濁防止法によって定められる公共利用の水域であり、摩周湖はそのリストにはない。人の生活経済圏でもある支笏湖の水質が日本一なのは、周辺住民の不断の努力の結果だ。

水質を下げる原因としてプラスチックが問題視されている。
プラスチック製ストロー禁止のニュースを耳にする。ウミガメの鼻に刺さったストローを抜く衝撃的な画像は、プラスチックを使う日常への問題提起である。
深刻なのは細片化されたマイクロプラスチックによる生物汚染だ。
科技大と水族館で企画するナイトミュージアムでは、マイクロプラスチックと循環型経済を考えてみたい。

千歳科学技術大学 教授 下村政嗣
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2018年7月24日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。