【千歳学ことはじめ vol.9】持続可能なパッケージング
Date:2018.12.03
11月2日、まちライブラリー@タウンプラザで、“パッケージング、資源回収、マイクロプラスチックから考える循環型経済”をテーマとして「オープンサイエンス・パーク千歳」を開催した。
(詳細はこちらのページ⇒https://snc.chitose.ac.jp/archives/178.html)
今、世界中でプラスチック製ストローが廃止されようとしている。大手コーヒーチェーンを皮切りに大型娯楽施設、そして国際オリンピック委員会が、使い捨てプラスチックストローの使用をやめる。
その背景には、ウミガメの鼻孔に詰まったプラスチック製ストローを抜き出すショッキングな動画が象徴するプラスチックによる深刻な海洋汚染、とりわけマイクロプラスチックと呼ばれる微小な粒子状プラスチックが及ぼすであろう生態系、環境への影響がある。
本年1月、欧州連合(EU)は「プラスチック戦略」を宣言した。EU市場に流通する全てのプラスチック製の容器包装材を2030年までに再生利用可能なものにし、使い捨てのプラスチック類は削減、マイクロプラスチックの故意的使用を制限する。この背景には、昨年12月に中国が廃プラスチックなどの再生資源の輸入を禁止したこともある。
国連環境計画が6月に発表した報告書「使い捨てプラスチック:持続可能性のためのロードマップ」によると、2015年に世界で生産される3億8000万トンのプラスチック原料の36%が容器包装材料として加工されており、プラスチック廃棄物の47%は容器包装材料である。プラスチック容器包装材の廃棄物が多いのは中国(2014年に4千万トン)であるが、一人当たりの廃棄量はアメリカに次いで日本、EU、中国の順である。
ちなみに、平成29年度に千歳市で回収された一般家庭ゴミの内、使い捨てのプラスチック容器包装材は717トンである(ペットボトルは含まれない)。
千歳科学技術大学 教授 下村政嗣
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2018年11月28日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。