【千歳学ことはじめ vol.10】水道インフラ

Date:2018.12.21

【千歳学ことはじめ vol.10】水道インフラ

地震で延期していたサケのふるさと千歳水族館での“ナイトミュージアム”、「オープンサイエンス・パーク千歳〜着氷雪防止とインフラ整備〜」は、来年1月25日に開催する。インフラといえば、電気、ガス、水道、交通、通信、学校、病院など、経済活動や社会生活の基盤となる構造や仕組みである。
最近、地震による停電、水害による断水、人口減による廃線など、インフラ障害が後をたたない。そんな折、12月6日に改正水道法が成立した。自治体が事業者である水道インフラに民間委託の道を開くものである。水道の民営化による水質の悪化、料金の高騰などにより国外では失敗した事例が多いこともあり、十分な議論と理解がないままに成立した感は否めない。

奇しくも12月7日の午後、日本水道協会会議室において、各地の水道事業者から水道事業の現状、とりわけ水道管路の更新や耐震化についてお話を伺う機会を得た。水道管路の法定耐用年数は40年であり、高度経済成長期に整備された施設の更新が思うようにすすまず、現状では更新に130年以上かかるという試算がある。蛇口を捻れば水が出ることが当然だと思っている日本では、水道管の技術はすでに完成されたものだと思いがちであるが、耐震や腐食防止、水質保持、更新には技術革新が要求されているようである。

水道料金は事業体によって異なっており、全国では8倍の料金価格差がある。最も安いのは愛媛県八幡浜市、最も高いのは1039位の熊本県宇城市、東京都は361位、道内では、夕張(1038位)、帯広(946位)、北広島(807位)、札幌(672位)、千歳(473位)、旭川(433位)、苫小牧(293位)、函館(162位)である。順位に一喜一憂することなく、各地の水道事業の背景にある人口減や衰退経済など、“縮小日本”における国土強靭化の課題を考えてみたいと強く思った。

千歳科学技術大学 教授 下村政嗣
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2018年12月19日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。