【千歳学ことはじめ vol.11】着氷雪とインフラ

Date:2019.01.22

【千歳学ことはじめ vol.11】着氷雪とインフラ

東京で数センチの積雪があれば交通網は即座にマヒする。雪に強い北海道でも、年に何回かは積雪による交通マヒがあるものの、最近、頻度が増えているように感じるのは著者だけであろうか。
2016年暮れ、札幌で90センチを超える記録的な大雪が降った時、かろうじて羽田から新千歳空港に戻って来ることはできたものの、札幌までの足がなく、長らくタクシー待ちをしたことがある。
今年1月5日の千歳地域の局地的な積雪は、JRが止まるまでの量ではなかったものの、年始の移動ピーク時と重なったこともあり正常化までには時間を要したが、空港滞留客への対応や除雪作業などにおいては2016年の教訓が生かされていたのではないだろうか。

太陽光発電もまた、積雪で機能が低下するインフラの一つである。道内には多くのメガソーラー発電所があり、新千歳空港滑走路の隣には道内有数の発電量(28メガワット)を有する千歳柏台太陽光発電所が稼働している。胆振東部地震による苫東厚真発電所(総発電量1650メガワット)停止にともなうブラックアウトの折に太陽光発電がどのような寄与をしたかは、多様な発電による安定した電力供給を可能とするスマートグリッドのありかたを考えるうえにおいても、今後の調査が待たれるところである。

さて、積雪による発電量の低下は致し方ないものなのであろうか?雪が付かないソーラーパネルは作れないのか?雪が付かない飛行機、雪が付かない信号機や道路標識、雪が付かない滑走路、そんなことを可能にする技術があれば、温暖化による降雪量の増大にも耐えられる持続可能な街づくりに寄与しそうだ。1月25日開催予定のオープンサイエンス・パーク千歳で考えてみたい。

千歳科学技術大学 教授 下村政嗣
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2019年1月22日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。