【千歳学ことはじめ vol.16】地域学

Date:2019.05.13

【千歳学ことはじめ vol.16】地域学

公立化第一期生向けの新カリキュラム、千歳学がスタートした。歴史、自然、産業など、千歳の過去と現在を総合的に知る地域学は地域貢献の第一歩である。

北の大地を北海道と命名した明治維新1868年の日本の総人口は3330万人、太平洋戦争が終わった1945年には7199万人、高度成長期、バブル経済を経て急速に増加したものの、リーマンショックがあった2008年の1億2808万人をピークに減少に転じている。急激な人口減と高齢化、地方消滅の危機に対し、2014年に「まち・ひと・しごと創生戦略」が閣議決定され地方創生相が置かれる。本学においても2015年に文部科学省「地(知)の拠点大学による地方創生推進事業(COC+)」に参画する。2018年には、持続可能な開発目標(SDGs)と地方創生を組み合せた「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」が始まり、道内では札幌市、ニセコ町、下川町が選ばれた。

地域創生にとって地域学は不可欠である。地域学は米国の経済学者ウォルター・アイザードによって提唱され1954年に地域学会が創設されている。2000年に日本学術会議が「現地研究に根差して人文科学・社会科学・自然科学を統合的、俯瞰的に再編成しようとする学問的営為」と定義したように“分野の壁を超えた”組織が求められるため、我が国では1996年の岐阜大学地域科学部、高崎経済大学地域政策学部の創設を待つことになる。最近では地方創生が国策化したこともあり、地域を冠した学部や学科、教育コース、研究センターが新設されている。本学も、千歳市で開催している「千歳学出前講座」や「ちとせ・まち魅力検定」、『新千歳市史 通史(千歳鏡)』に学び、豊かな自然環境と人の顔が見える街の地域学をめざす。

 

公立千歳科学技術大学 特任教授 下村政嗣
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2019年5月8日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。