今年の6月は比較的穏やかな天候が多く,学生に千歳の町中を歩かせるフィールドワーク型の授業をしている身としてはホッとした。「システムデザインプロジェクト」という情報システム工学科3年生の一部が参加するこの授業では,学生が千歳の観光客目線で,その体験を記録し,分折する。
私たちは,サービスを受ける際,始めてから終わるまでの間,様々な感情を抱く。こうした顧客体験の記録をカスタマージャーニーマップと呼ぶ。例えば,市内から「さけのふるさと千歳水族館」に向かうルートを,あるグループは千歳川沿いをノンビリと歩き,自然の恵みを満喫する。別のグループは最短コースをたどるが,途中大きな水たまりに遭遇し気持ちが萎えるかもしれない。こうした体験を,スマホアプリで顔文字や写真,音声,文字などで残す。フイールドワーク終了後,別のグループがPCを使い「正確性」「迅速性」「共感性」「柔軟性」「安心感」「印象」という評価項目ごとにデータを分析する。
水族館は体験ゾーンにおける来館者の「印象」や水中餌やりでの職員への「共感性」が高かった。サービスサイエンスでは,これらの要素の評価が高いサービスはリピータに繋がることが知られ,千歳水族館であれば「年間パスポート」利用者が多いことが,それを裏付けている。
今後,こうした活動や研究が,千歳市内の様々なサービス提供者と共に行われることで,サービスの向上に繋がることが期待している。
公立千歳科学技術大学 教授 曽我聡起
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2019年7月15日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。