【千歳学ノート vol.10】「新聞」
Date:2019.12.17
本紙、25日の一面を見た際に,衝撃が走った。そこには「来年1月31日で休刊」との見出しがあった。その理由について本紙は「インターネットの発達などで新聞を取り巻く環境が厳しさを増し、これ以上現状のまま発行を続けていくことは難しいと判断した」と述べている。
新聞購読者数の減少は、アメリカにおいては更に顕著である。アメリカ合衆国の新聞協会「Newspaper Association of America(NAA)」が公表したデータを2014年分までまとめたサイトによると、全米の発行部数は2003年あたりから減少し始め、特に本紙と同様の夕刊紙は2007年から大きく落ち込んでいる。2001年から2014年にかけて、発行部数は5500万部から4000万部と、1500万部ほどに落ち込んでいる。注目したのは「2007年」という年だ。これはアメリカでiPhoneが発売された年である。単なる偶然だろうか。市民のメディアソースが新聞からスマホ(インターネット)へと移行した可能性は考えられる。
本学の授業では、新聞の重要性を学生に説いている。先日は,学内の古新聞を集め、一人一部づつ手渡し、課題発見と解決を行う授業で用いた。この授業を行なった前後では、スマホ世代の学生の意識が大きく変わるなど、手応えをつかんだと思った矢先の本紙の休刊である。私自身、当コラムをきっかけに、本紙という大変に魅力的な新聞に出会えた事を喜んでいただけに、休刊は様々な意味で残念である。
公立千歳科学技術大学 教授 曽我聡起
出典:千歳民報コラム「ゆのみ」(2019年12月9日号)
※この記事は千歳民報社の許可のもとに転載しております。